京都の親水空間-その1高瀬川
京都の親水空間
その1:高瀬川
鴨がいてクレソンが
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「高瀬川にクレソンやセリ(芹)が自生しているのを
知ってますか?」
河野武平さんからメールをいただいたので
川沿いを歩いてみた。
(青色のフォントをダブルクリックすると写真がアップされます。)
川に枝をさしかける桜は既に散りかけていて、随所に花びらたまりが
できている。
高瀬川は、400年前に掘られた運河で、二条あたりで鴨川の西端の
禊(みそぎ)川から取水し、十条まで流れる。
昔は平底の舟で伏見から荷物を運んだ。
今は、幅も狭く3~4m、深さは10センチあまりで、せせらぎに
近い。ところどころに土が入って草が生えている。
ホタルが自生しているので、草は残しているのだそうだ。
どれがクレソンかわからない。五月になると白い花を咲かせるそうだ。
川底には水草がついていて、鴨が餌をついばんでいた。町なかの川に
してはきれいだ。浅く、流れがあるからか。ごみも捨てられていない。
河野さんによると、地元住人が暮らしの一部として川を守っている
からだと言う:
「バブル経済の頃の高瀬川は今ほど河床は掃除されていませんでした。
ダンスシューズ屋を営む荻原さんが、還暦を迎え、期するところが
あったのでしょう、長靴姿となって、高瀬川から三条周辺を365日
毎朝7時頃から欠かさず清掃されています。もう80歳を超えておいで
だから、20年以上現在まで続いています。ご自身の回れる範囲、
身の丈の範囲を継続されていることで、多くの人々の共感が得られ、
今では数グループが清掃されています。
まわりの木屋町界隈は飲食店舗などが密集する地域ですが、
荻原さんたちの活動で住人の意識がたかまり、ゴミ捨てはなくなり、
高瀬川は清らかな流れを保っています。
この環境であれば、わさびも育てられます。100万都市の
ど真ん中に、わさびやクレソンが育つ、これは、地域のひとたちの
誇りです。
高瀬川を守ることは、京都人の環境へのこだわりの表現でしょう。」
明治中頃、高瀬川を暗渠にして道幅を拡げようという案があったが、
地元が反対して実行されなかった。ご先祖様は高瀬川を守った。我々は
これを次の世代に引き継がなければならない、という見識が今の
住人にある。
木屋町通りの三条から四条にかけての界隈は、近年、店舗が商業資本の
手に渡り、風俗店などが増え、安手の歓楽街に変容しかけている。
それでも、かろうじてその動きにブレーキがかかっているのは、
高瀬川景観を備える木屋町を守りたい、という地元の強い意志がある
からだろう。
今月はじめ、ここに京都府警の派出所が新設された。風俗営業的
動きににらみを利かせるという趣旨だろうが、地元の自律意識を
思うと違和感を感じるがどうであろう。
京都は、東に鴨川、西に桂川と水に恵まれた町で、一級河川の
鴨川ですら、川の中に、飛び石が置かれ、市民の恰好の遊び場だ。
高瀬川は、もっと身近な普段の暮らしのなかに溶け込んだ親水
空間である。川沿いの歩道はいい散策路。車を徐行運転させる
ため車道をところどころで狭める工夫をしている。
川に面する店舗は、川を風景として取り入れ、屋外をカフェ
テラスにして活用しているところもある。地域のひとが、暮らしの
なかに取り込んでいる。こうして、街がしっかり生きているのが
虫除けにはいちばんだろう。
木村隆之
シーデザイン
